月惑星研究会関西支部通信 No.22

1999年 7月18日


梅雨空の中,今回はオブザーバーも含めて11名の例会となりました。参加者は次のメンバーです。
参加者
池村/新川/忍穂井/前田/伊賀/薄出/奥田/小嶋/林/安達/田中(オブザーバー)
    以上11名

今回参加された田中さんはさっそく例会終了後,私たちの会に入会されました。無理に押し付けたのではなく,気持ちよく入っていただいたと思っています。ん? ひょっとして入らなければならないような状況に追い込んでいたのでは・・・。

今回の例会は,火星面の状況把握や,北極地方にしばしば発生している雲の状態についての検討が行なわれました。一応皆さんの納得のいく説明がつけられたように思います。また,木星の方は伊賀さんの基礎講座の後,木星の状況把握を行ない,これから先の観測の指針がたてられたと思います。折しも当日の朝BAAからの情報が流れてきたこともあり,それも紹介されました。

参加者の間で目立っていたのは奥田さんで,今回望遠鏡に取り付けるターレット形式のフィルターボックスを自作されて,それを公開されました。たくさんの参加者の眼がそそがれました。きっとこれから作られる方が出来ることでしょう。素晴しい成果を期待致します。


◎自己紹介と近況報告

池村

2年前からピコナでの撮像を始め,そこから急に成果が上がりはじめた。現在は必死になって惑星の画像を撮っている。最先端の座を目指してがんばっている。今回も最新の画像を持参の上参加されました。

新川

例会は3回目の出席となりました。天文を始めた頃は土星が魚座にいたときで,小学生の頃に6cmで木星のスケッチをしたそうです。大学に入り惑星観測を忘れ,天体写真に熱中。龍神まで出かけるくらいがんばったとか。ラグランジュポイントにあるといわれていた雲状衛星を見つけるために,全天カメラで撮影を続けていた。

現在は自宅のマンションのベランダに28cmのSCをおいて観測しているとのことで,持ち込まれたノートパソコンに自宅の様子を入れてこられ,見せていただきました。惑星のほうはこれからは赤外でも撮ることを考えていて,これからそれに向かってがんばってみたいとのことでした


忍穂井

ヘールボップ彗星のころから始めて3年くらいになる。1年ほどスケッチしてその後は池村さんから教わってピコナで撮影している。最近になって池村さんが過去に使っておられた21cmの望遠鏡を使って観測を始めている。観測はマンションのベランダでやっているため,南中後は観測できなくなってしまうとのことでした。また,最近は一月に1回徳島県の那珂川の天文台にいってお手伝いをし,そこの望遠鏡を使って観測もしているとのことでした。

前田

池村さんのピコナをきっかけに1年半前くらいから入会している。惑星の撮像だけではなく,望遠鏡を作ることも趣味になっている。京都のすぐ西隣の亀岡市から出席されました。

伊賀

基本的に木星屋さんです。自宅では南中前に観測出来なくなるので現在はりきっておられます。昨年の秋からピコナに移ってがんばっておられます。ウェブの開設をして運営されています。最近はたくさんの画像が集まり,更新にヒーヒー言っていますが,これも嬉しい悲鳴ですとのことでした。(皆さんもっといじめてあげましょう。)

最近は日本だけではなく,海外にもアタックしていて,BAAやALPOとのコンタクトをしたり,画像をもらったりしている。最近になってイギリスのRogers先生からわれわれのHPを見たとの連絡があり,excellent!との評価をうけ,ALPOのダミアン・ピーチからは「おまえの苦労は必ず報われる」とのコメントを頂戴したとのことが報告されました。これからもがんばりたいとのことでした。(支部のメンバーには各々のスペシャリストがいるわけですが,たくさんの情報を含んだHPになるようにみなさんの力を結集していきましょう。)


薄出

7年がかりで観測所作りをしているが,最近も雨漏りをしてまだ完成にはなっていないとのことでした。(安心してください。安達も同じ状況です。はい。)昨年買ったCCDではまだ成果が出ていない。ピコナもつくってみたとのことでした。結果は努力次第だから,今後はがんばっていきたいとの力強い言葉でした。望遠鏡の架台に問題があるが,ゆくゆくは3色合成もやってみたいとのことです。

田中

(オブザーバで参加されましたが,今回から新しい会員です。)
大阪の高槻からこられました。小学校4年に始めたコル8cm単レンズ屈折望遠鏡で星を見たのがはじまりだそうです。三脚がかえず,屋根がわらの上に望遠鏡をおいて観測していたそうです。木星を見て赤や青の色がついてとてもきれいな星だと思ったとのことです。友達がもっていた学研の付録の32mm1200mmのレンズで出来た望遠鏡を使い,二眼レフで撮らせてもらい,クレーターのある写真を撮ったこともあるということでした。

現在は20cmSCを使っているが現在は納屋にねむっている。昨年の9月に重病で入院したが,何とか退院できたので,これからはがんばっていきたいと思っている。天文ガイドに出ていた木星の素晴しい写真を見てがんばれば出来るかもしれないと思い,ピコナをかって改造にも取り組んだとのこと。これからよろしくお願いしますとのことでした。


奥田

10cmのコルキットが入門機。アポロのころにビクセンの6cmを買って星を見ていた。1990年に15cm反射経緯台を作り,火星観測を始めて現在にいたっている。現在は冷却CCDを使って撮影するようになっている。5月に作ったフィルターボックスを使い,アンチピコナでがんばりたいとのことです。(みんなピコナにならないほうがいいなあ。いろんな情報ができなくなる。浅田さんメタンバンドなどの情報も流してよ。お願い。)

小嶋

和歌山からの参加です。(ウソ,東京からの帰り道の参加です。)めざすは銀塩 of master だそうです。現在は金星の満ち欠けを追っているそうです。晴れれば1mを覗き続けれ居られるそうです。(あーうらやましい。)

中学生のとき口径35mm f1000mmの望遠鏡が始まりだったとか。今年は病気に取りつかれ,絶対に退院できるようにと,CCDを買われたそうです。そして,無事退院。(みなさん。生命保険よりもこの方がよく効くかも)4月末から観測をスタートさせたとのこと,HPにもあがってきています。5月の連休から撮りだめをしてきたが,自分なりの処理が出来るようになりつつある。セレストロンのC-14で観測している。現在,奥田さんに習って観測中だそうです。

安達

5月9日の病変発見以来調子が狂ったままです。6月1日に入院して3週間入院していましたが,ようやく普通のからだに戻りました。ようやく観測できる体に戻ったとたんに天候が悪くなり,もう1ヵ月と2/3も,観測できないでいます。晴れればこれから活動再開です。


◎火星近況報告

視直径は10秒ぎりぎりとなり,観測条件としては悪くなってきました。しかし,池村さんをはじめ何人かの方はまだまだ追跡をしていただきてします。

南極冠はいまだに,はっきりとは捉えられていません。たぶん成長しているとは思われますが,はっきりと確認できない状況にあります。例会の席上では南極冠のもっとも成長したときの緯度は何度くらいになっているのかという議論がありましたが,安達や池村さんからおよそ南緯65°位まで広がってくるという指摘がありました。この緯度でいうと,今回観測できている火星のディスクの南のはしにかろうじて見えるかもしれない,という程度であることが分かりました。今後も注意して観測する必要があることが確認されました。


○火星の北極地方の雲

火星の北極地方に接するようにみられるAcidariumの近くにときおりサイクロンが発生することは今年のHSTの画像で一躍メジャーになりましたが,よく似た現象がこの付近で頻繁に起っているらしいことが報告されました。

支部のメーリングリストにも載っていましたが,池村さんが7月1日北極冠の近くにそれらしき雲を撮像されましたからそれをもとに,討議しました。

  • 7月1日ごろに発生し,7月10日くらいに消えたらしい。
  • アキダリアの東側1/3を隠す位になり,最大に発達したのは7月4日だった。
  • 初期の段階と比べ,7日には直径で2倍くらいにひろがっている。
  • 発生位置は北緯60° CML=10°
画像から読み取ったダストストームの様子
7月1日  池村/中西が撮像 
2日  根市 黄色っぽく写っている。
4日  池村 もっともはっきりする。
6日  根市 
7日  池村/忍穂井/中西/根市 かすかに淡くなっている。
8日  池村/根市 
10日  池村 ほとんど分からなくなる。

このダストストームは画像を見る限りにおいて,色合いが黄色っぽく,今までこの地域で見られていた雲とは性質が違っているらしい。北極地方の水蒸気は,南極地方にかなり移動しており,今までのような白っぽい雲の発生は無くなってきており,今回のものは砂塵嵐のようなものではないかと考えられる。

発生するメカニズムとして,この地域は北半球ではもっとも濃く,大きな模様であるAcidariumのある地域に接する部分であり,この部分は太陽からの熱を他の砂漠の地域と比べると温度が上がる場所に相当する。従って,暗く見えるところと,明るく見えるところとの温度差による。地域的な嵐の起りやすいところにあたり,今回のようになったと思われる。この考えはNASAのレポートの中に出ているとのことで,例会のときに伊賀さんから提示されました。


◯ElysiumとAetheria地域

池村さんからこの地域が今まで,度々見えにくくなったり,著しい場合はAetheriaの暗く大きな模様が見えなくなり,のっペりした火星として見えることがあるが,これはどうしてかという問いかけがあった。

この地域だけに限らず,火星の模様のコントラストが低くなることはしばしば起る現象です。この現象は火星の表面にかかる淡い雲が原因で,これによって部分的に模様が隠されたり,著しい場合は火星全面がほんわりと覆われてしまうことが起るからです。今回NASAから公になったHSTの画像をみていただいても分かる通り,火星の表面には淡い雲が非常に広い範囲を覆っていることが分かります。皆さんも,ぜひHSTの画像をご覧になって火星の半分近くを覆う,淡い雲の存在を確認してください。

実は,この雲は非常に面積的に広く火星を覆っているものであり,これが無くなった部分がいわゆるブルークリアリング現象といわれるものになります。


◯ElysiumとAetheria地域 続報

伊賀さんの努力で提供していただいた画像を見ての続報をかきます。これは支部例会とは別件ですが,上の記事に関係しますから,無理に割り込ませました。

http://www.kk-system.co.jp/Alpo/Mars9899/Others/Elysium.jpg
これらの画像を見て,まず基準として,5月10日前後の池村さんの画像を頭にインプットしておきます。この画像はElysiumが南中前に位置しているときに当たります。この時期は火星の暦でいうと8月に相当しますから,ちょうど現在の日本の様に暑い時期に当たると考えられます。最もこんなに気温は上がりませんが。この5月以前は北半球のほうは,北極冠からの水蒸気の供給をかなり受けていますから,日常的にEljysiumの高地の上空には雲かかかることになります。ところが日にちが進み,5月に入ると北極の方からの水蒸気の供給が減り,大気中に含まれる水上気量が減少してきます。すると,日常的に出ていたElysiumの雲は気温の上がらない午前中は上昇気流による断熱膨張の効果が現われにくくなり,南中前には雲が発生しにくい気象条件になったと考えられます。

Cidadaoさんの画像はピコナと違って青色に敏感ですから,5月10日以降も写っている様にも見えますが,よく見ると明るさのレベルがずいぶん低くなっており,午前中は出にくくなっていることがわかります。池村さんのおっしゃっておられた現象はこのことかもしれません。

例会のときにAetheriaの暗斑も見えにくくなったということから,安達が判断したことと,今回の現象とはまた別の現象です。惑星ガイドブックによれば大沢さんの論説にElysiumは夕方になると明るくなると記述されていることを付記しておきます。


◎木星の近況

伊賀さんが座長になって,解説を行なっていただきました。最初は初心者もおられることから,模様の解説を「THE GIANT PLANET JUPITER」の解説図を元にして行ないました。その後,南側から順に集まった画像を元に解説していただきました。状況を把握するためにはHPのほうからJupiter's Nowを参照しながら見ていただくことをお薦めいたします。ホワイトボードには細かく書いていただきましたが,ここでは大切なところにポイントをしぼって紹介させていただきます。

◯大赤斑(GRS)

大体L2=66〜67°に位置しているもよう。大きさは小さく,中心部分のオレンジ色のコアだけが見えているらしく,東西方向では15°位になっている。今シーズンに観測がはじめられたときは淡くて,見えないくらいであった。

◯南温帯縞(STB)

気になるBEとFAですが,昨年と違ってBEは輪郭が捉えやすくなっている。周辺部に暗い部分が出てきたからで,見やすくなって位置も捉えやすく好都合である。

ただ,HSTの画像などを見ると,中心部分に暗い部分が出来ており,今後この白斑がどのような変化するのか,注目していかねばならないもようです。FAはあいかわらず,小さめでBEと比べると幾分中心緯度が南寄りになっています。両者の間隔は,15°あり,各々の白斑の大きさを差し引くと,間は10°程になり,ずいぶん接近してきました。この二つの白斑の間には小さな白斑が一つ存在しています。大赤斑もこのBEとFAもいずれも時計と反対回りになっていますが,この間に見られる小さな白斑は時計回りの白斑になっています。

FAとBEの接近の様子を予報すると,9月に大赤斑の南側を通過するときにmergeするのではないかと思われます。ここしばらく,この両者の白斑の位置を追跡していかねばならないでしょう。

BE L2=129(8/July)
FA L2=144(8/July)
昨年見つかったSTBの3つの暗斑は各々残っており,もっとも先頭にあった#1の暗斑はL2=340位に位置しており,かなり淡くなっているもののかろうじて位置が取れるくらいの状態で見えている。

#2の暗斑はかなり東西に広くなって合を迎えましたが,現在,そのままの状況で推移しており,大赤斑の前方10°前後に見えています。#3の暗斑は大赤斑の左肩に位置しており,最も濃くはっきりしています。


◯南赤道縞(SEB)

全体的に見て中央組織というか,中央に位置する東西に広がったバンドがよく目立ち,その南側も北側も淡化傾向にある。全体としてこのまま淡化が進むのかもしれない。しかし,過去,中央組織だけを残しての淡化の覚えはなく,まだまだ,変化が起る可能性がある(過去には南や北の組織が残ることがおおかった)。

大赤斑後方の撹乱された状態は現在も続いており,直後に2つの白斑が並んでいるのが捉えられている。

さらに,今回の特徴としてL2=150°付近の中央組織は赤く着色されており,この部分はdark streakとして目立って見えている。また,よい画像を見るとSEBの北組織には白斑が並んでいるらしい様子がうかがえる。


◯北赤道縞(NEB)

北側にたくさんのBARGEらしきものが並んでいる。また,全体に2本のRiftが出来ている。とりわけ注目しなければならないのがBAAからの連絡にもあったもので,L2=210°にLittle Red Spot(LRS)の初期段階のスポットが出来ていることである。位置的に見ると,緯度が今までのBARGEの様な緯度ではなく,やや北側に位置しており,1976年に出現したものと同じ緯度になっているらしい。この位置は昨年,一昨年見えていたNOTCHの位置となり,どのような動き方をするか追跡していきたい。

◯北温帯縞(NTB)

3ヵ所くらい暗斑が南側にあるのが確認できる。

◯北温帯(NTZ)

L2=200/320/350に3つのdark streakがあり,NTBnのjet streamにのっているのが追跡できた。1ヵ月間に12°くらい後退している。

以上のような報告が行なわれた。今後の観測をよろしくお願いいたします。


◎木星会議

来年の2月26から27日にかけておこなわれる木星会議の会場が決定されました。主催はサザンクロス天文同好会となり,後援として月惑星研究会や東亜天文学会にお願いすることとなりました。分科会や詳しい内容は次回の例会で決めることになりました。

会場はNTT松原苑です。名古屋駅から15分くらいで現地に到着できる,交通の便のよいところです。車も少しは駐車できるようです。宿泊は会場の建物でも出来ますが近くにある大須プラザというところでもできますが,11月26日以降でないと予約できないとのことです。

 参加費 3000円
 懇親会 5500円
 宿泊費 8500円 と,なるそうです。 

◎事務局より

  • 新入会員です。
      田中 実 569-1031 大阪府高槻市松が丘3-1-8
      (S28) 電話FAX共通 0726-88-6470 勤務先電話06-6454-8211
           E-mail tanakamn@mansei.co.jp
  • 事務局の方は伊賀さんと新川さんのおかげでインターネットへの接続が出来るようになりました。ありがとうございました。

◎次回の例会

1999年10月24日(日) 午後1時からの予定です。

発行:月惑星研究会関西支部

〒520-0242 大津市本堅田4-8-11
TEL(0775)73-7605
NIFTY VZD07247

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