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電動バリアブルウェッジプリズム 

                                       池村俊彦 2010/03/29,2016/06/29
2009/4月に作成しました。

 手前側にはカメラが付きます。
 向こう側が、接眼部になります。





●河原さんにご協力いただき、コント
 ロール回路を提供していただきました。

● 電源は9V〜12V
  9Vの電池が便利でした。
  動作頻度が少ないので
  2ヶ月〜3ヶ月は持ちます。



●エドモンドの
 両面マルチコーティング
 直径25mmのものを2枚使用しました。



  コントロールスイッチです。

●向側のスイッチは前後どちらかに動き、設定します。
 動作モードの切り替えスイッチです。
   向こう側に倒すと、プリズムは
 相互に同速度で逆回転となります。
 偏角と色分散が強さのみ変化します。
 方向は変わりません。
   手前側に倒すと、プリズムは
 等速同方向回転となります。
 偏角と色分散の強さは変わらず方向だけが変化します。

●手前側のスイッチは真上を向いていて左右に倒したとき
 モーターが回ります。 
 向こう側のスイッチの設定モードに従い
 右に倒す、左に倒す により回転がすべて
  正方向、逆方向に動きます。


●webカメラを接続し、惑星を導入してパソコンのモニター
 画面を見ながら
 惑星像の赤い「にじみ」が出る方向に、惑星像を動かすと
 色のにじみが消えていきます。
 左右は、同方向の回転で、上下は逆方向の回転で強弱を
 変えることにより、自在にプリズムの強さ方向を調整し
 惑星の色分散をなしにしていきます。
 したがって、今、プリズムがどの方向、どの強さになっている
 のかを意識する必要はありません。
 






 プリズムの動く様子の動画です。

 プリズムのいちばん厚い部分に黒の印をつけてあります。
  全周回ります。

コントロールスイッチ操作




今までは5枚の検眼用プリズムを常時用意して、接眼部をあけてセットし、強さや方向が合わないと、カメラをはずし、 プリズムを取替え、調整してまた、カメラをセットして..を繰り返していました。 2枚のウェッジプリズムで可変式にしたいと思いましたが、プリズムを手動で回転する方法で行うと、 1.回転時に望遠鏡が揺れる 2.プリズム回転ハンドルを光学系筒の外に出す必要があり、2枚のプリズムのハンドルが必要でさらに回転範囲が制約される。 3.接眼部と惑星撮影のパソコン画面が離れているため、様子を見ながら能率的に調整できない。 4.寒さと睡魔の中で、色分散の強さと方向を考えながら、接眼部とモニタ画面を行ったりきたりのでは使えるような  ものになると考えられない。 というわけで、解決方法をあれこれ考え、半年ぐらい構想を練りました。 2枚のプリズムを同じ速さで同方向、逆方向に簡単に回転させる方法..最初はギア構成を考えましたが、接眼部に使って いる小型パルスモーターは、パルスで動いているなら、2つのモーターを1つのコントロール回路で回せばよいのでは、 と気がつきました。片方のモーターだけ配線を随時変えれば同一速度で逆回転になるはず。 手元にあったテスト用モーターで動作テストしたところ、予想どおりの動作を確認できました。 ギアの入手方法、プリズムの入手可能サイズ、価格などを調べて、製作の目処が立ったので作ることにしました。 2009年5月に動作部分は完成し、プリズムを組み込んで、主鏡が修理が終わって実際に初めて撮影に使用したのは 2009年11月でした。 しばらく悪天候がつづき、やきもきしました。 自分で作ったのに、大きな装置に張ったばかりの配線がピンピン飛び出して、果たして効果を発揮するのだろうか 疑わしく思うこともありました。 プリズムの一番厚い部分に印をつけましたが、撮影中はプリズムを見ることができず、方向、強さがわからなかったら どうしよう、と思ったのですが、実際、この装置を通してToUcamをつけてモニター画面の惑星を見ると、スイッチ操作で、 惑星の赤いにじみが出ている方向に動くようにプリズムを回転させればよいので、 プリズムの強さ、方向が今どうなっているか、考える必要は無く、知る必要はありませんでした。 色ずれ補正の使い方、要領がわかったので、こりゃ楽で便利だと初めて実感しました。 もう、5枚プリズムの取替え、回転調整の装置には戻れませんね。 まずはパソコンのモニターに惑星像を導入する。次に、手元のスイッチで赤色の出る方向にプリズムを動かせば、完全 に色ずれを消すことができます。 赤経赤緯の微動、接眼部ピントのモーター、ToUCamのUSBケーブル、電動プリズムコントローラの電線があります。 西天の惑星を撮影してから、望遠鏡の向きを変えて東天の惑星を撮影すると、これら4本の電線が絡み合って、 えらいことになります。 たまにモーターの接続配線が緩んで接触不良になったときは、撮影を断念し、急遽修理となりました。 それ以来、予備のモーター配線コードを用意しています。 注意事項

バーローレンズ⇔プリズム⇔カメラ の並びで連結しますが、
少し拡大率を上げるため、間隔を伸ばす場合。

@プリズムの後を長くする方法

Aプリズムの前を長くする方法
 プリズムは強くします。

両方とも、プリズムを取り去った場合は同じ位置に像が結ぶはずです。
両方とも、プリズムを入れた場合の撮影像は同じ位置になります。

Aのほうが像が悪いです。 何が違うのでしょうか。
いろいろと考えた結果、次の結論となりました。

Aはプリズムの度が強いため、より大きく光路が曲がります。 
これが何がいけないか。

本来、プリズムの位置で鏡筒を曲げる必要があるのでが、
曲げない場合、焦点面が傾くので、片ボケを生じます。
プリズムの度が強くなると、筒を大きく曲げる必要がある
ということは、焦点面の傾きが大きくなるので、片ボケが
大きくなり影響が出やすくなるのです。

したがって、筒を伸ばして拡大率を上げるときには
@のように、プリズムとCCDの間を延ばした方が良い。

本当はプリズムの位置で鏡筒を曲げるべきなのです。
困難なのでやっていないだけ、しかしできないなら、プリズムは弱いほうが良い。
したがってバーローレンズの直後または、バーローレンズよりさらに対物側
(熊森さんの方法)がさらに良いです。

バーローレンズを強くした場合、拡大率が大きくなります。プリズムの度も強く
する必要がありますが、F値も大きくなるので焦点面の片ボケの影響は少ないです。


●製作費用 合計 約27500円(2009年頃) 使用材料        モーター2個 7000  制御回路1個  500  ギア     2000  材料部品   2000 箱、スイッチ、配線、金属板、ねじ  プリズム2個 16000 エドモンド 2009/5月購入時  変動します。  ペンタックス67の接写リング2組 プリズムの仕様について  エドモンド 偏角2゜BK7 面精度1/4λ vis0゜マルチ  2枚 を使いました。   理想は 偏角2.5゜ N-SF11 面精度1/10λ vis0゜マルチ です。(量産市販品は存在しません。)    溶解石英は屈折率が低く、ガラスが厚くなるため不可です。 ペンタックス67の接写リングは手持ちのもの2組を使用しました。 準備、動作テスト、部品調達は1年以上。 試行錯誤で工作にかかった日数 7日 (感想・意外と簡単でした。) 2010/04/08 西空低空の水星撮影で、地平高度12゜ぐらいでも色分散補正が完全にでき、うまくいきました。 2010/04/24 東空低空の木星撮影で、地平高度10゜付近が限界であることがわかりました。       モニターを良く見ていると、90秒の撮影中にも色分散の方向、強さが変化していました。       画面を拡大して注意深く色ずれを修正したところ、画像処理時に全く色ずれを補正せずに       色ずれの無い画像ができていました。 ただし、低空の惑星像をプリズムで補正すると、二次色分散として緑色と青+赤のにじみが気になるようになります。 2016/05 追記 口径20cmのとき惑星の高度60゜以下で色ずれ補正が必要でした。 惑星撮影において色ずれ補正が必要となる地平高度はこの程度と思われます。 口径 地平高度 10cm 40゜以下  15cm 45゜以下 20cm 60゜以下 25cm 65゜以下 30cm 70゜以下 35cm 73゜以下 ●大気差色分散補正プリズムの池村の歴史 1994年 色分散を補正しようと考え付いたのは、1994年7月のSL9の木星衝突のプリントを見ていて思いつきました。     私は強度の近視で度の強い凹レンズをつけています。めがねレンズの端では色が出ます。     SL9の木星衝突のプリントをメガネレンズを上にずらして下端で見たところ色分散が打ち消され、     鮮明になることに気がつきました。     最初は単凹レンズの軸はずしをして、接眼部に凹レンズをセロテープで留めて眼視で効果を確認しました。     メガネ店の検眼レンズセット箱に薄いプリズムがあるのを発見しました。     しかし、どの程度の強さがよいかわからなかったので、1〜2枚貸していただき、眼視で効果を確認しました。 1994年 1枚プリズム(検眼用)で色補正をして撮影したのは1994年ころ金星撮影でした。星の例会で見せたところ、     「そんなの聞いたことがない、効果があるかどうかわからん」と酷評されました。     まだ、改善効果がわからないので、1枚1500円でも、かなり勇気を奮って2種類を購入しました。 1995年 その後、1枚プリズムで補正撮影で成功したのは1995年8月土星の輪の消失時にカラーフィルム撮影で     絶大な効果を確認しました。 1998年 ピコナでの撮影で接眼部に0.5゜1゜2゜3゜の検眼用プリズム交換方式で効果を発揮しました。 2000年 天文誌の紹介で、多くの人が撮影に検眼用プリズムを使い始めました。 2007年 2枚プリズムで手動式バリアブル構造を最初に作ったのは、熊森さんだと思います。 2009年 池村はそれを見て自分もバリアブル式を作りたいと思いましたが、うまい構造が思いつかず、     2009年4月に電動で作ることになりました。 2012年 このころからLRGB方式が多く使われるようになり、補正プリズムはあまり使われなくなった?     みなさんどうやってLRGBで大気差色分散を補正しているのでしょうか? 2016年 手動式バリアブルプリズムが 望遠鏡メーカーから発売されました。 ●手動式と電動式の違い
 電  動  式手  動  式
操作 モニター画面の前でスイッチ操作 接眼部に取り付けたハンドルを手で回す
モニターから遠い、ゆれる
強さ方向の調節 強さ回転ともモニター画面を拡大して見ながら
赤のにじみ方向へ惑星像をプリズムのスイッチ操作で動かす
強さはプリズムのハンドルを手で回す
色ずれ補正方向(天底方向)を把握する必要がある
ニュートン式では天底方向がわかりにくく方向調節が困難
大きな方向回転は31.7スリーブごと回す
回転限界 全周 ハンドルの範囲
31.7スリーブを回せば全周
操作性 モニター画面の前でスイッチ操作 接眼部とモニターが離れていると
頻繁に行ったり来たり
 
耐久性 プリズムの清掃ができるように工作時に考慮が必要
モーター2個の配線12本が細く痛みやすい。取替え保守が必要
6〜12Vの電源または電池交換
装置が大きく手動式より重い。
接眼部へのケーブル(7芯)が1本増える。
配線が絡みやすくなる。
プリズムの清掃のみ
その他 高橋製接眼部31.7アダプターにかぶせるように取り付ける。
バーローレンズとプリズムの間隔が最短にできる
この自作例ではPENTAX専用
メーカー製ではバーローレンズの後ろに
31.7mm延長筒のように取り付ける
汎用的に使える。
価格等
(2016現在)
自作した場合、約1ヶ月
部品(プリズム+モーター+ギア)約28000+工具+熱意工夫
既製品 通販で 20000円以内
アダプター接続環[KA00723] に67接写リングのオス側を3mmネジで取り付けました。外径約90mm 31.7アイピースアダプターを取り付け、パワーメイト5.0×をとりつけたところ。 撮影状態
 撮影状態
 
 @パワーメイト5.0×の先端位置
 A2枚のプリズムの位置
 B赤外カットフィルター
 Cコントローラーからの7芯ケーブルD付近に接続
 Dここでモーター用6芯 2本に分配配線する。
パワーメイト5.0×はモーターのすぐ内側に入り込んでいる。
モーターは直径90mmに収まらなかったので接写リングからはみ出している。

モーターの接続部分の線が抜けやすく、切れやすい。

Dの部分 回路は無い。ケーブル留めと分岐のみ Cコントローラーからの7芯ケーブル  Eモーターへの配線は左右どちらでも支障が無い。 avi動画 実際にモニター画面を見ながらプリズム操作で色ずれを消していく様子です。 最初は右上方向に赤のにじみが出ています。 画面は赤経赤緯の方向にあわせてあります。 プリズムを動かすと火星像が斜めに動きます。 微動は、火星像が上下左右に動きます。 最終的に色ずれが完全になくなります。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆      池村 俊彦  〒468-0004 愛知県名古屋市天白区 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



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